第12章 目を見て喋ってください
「こんなにも可愛い花に毒があるなんて信じられない……」
「見た目に騙されないこと……あんたは単純そうだから、すぐに騙されそう」
「う……ひどい……」
たしかに単純だけどさ。
それにしても家康さんって
「物知りですよね」
「……普通でしょ」
あ……
目線を外されてしまった。
私は小さい頃から親に人と話す時は、きちんと相手の目を見て話すように言われて育ってきた。
それが相手に対する礼儀だって言われてきたから。
だから、家康さんの目もちゃんと見て喋っていたのに。
「家康さん、1つ聞いてもいいですか?」
「……なに?」
「どうして目を見て喋ってくれないんですか?」
「あんたには関係ない」
「むっ!……関係あるから言っているんですけど?」
この会話中でも視線を合わせくれない。
「家康さん、ダメですよ。ちゃんと相手の目を見てお話しないと失礼になります」
「はあ?
(なに言ってるの?)」
「子供の時に教わりませんでしたか?お話をする時は、相手の目を見てお話しましょうって」
「なにそれ……あんたは俺の親?」
「親……?私はまだ結婚もしていないし、子供を産んだ事もありませんよ」
(子作りした事もないもん)
「……あんた、苦手……
(三成みたいな返しをしないで欲しい)」
「え?……今、なんて言いました?」
家康さん小声でボソボソと喋るから聞き取りにくいんだもん。
「……なんでもない」
「あ!また視線を逸らして!!ダメですよ。ちゃんと相手の目を見て」
「……五月蝿い」
「ちょ!ねぇ、聞いてます?」
顔を背ける家康さんを追いかける私。
「家康さん?ねぇ、家康さんったら」
「(しつこい……)」
「家康さんってば!ちゃんと目を見て……」
「……あんたはこれを持ってさっさと帰って」
「?……これ、なんですか?」
「三成に渡せばわかる」
「……話を逸らそうとしてます?」
「……してない」
そっぽを向く家康さん。
私、家康さんに嫌われているのかな?
続く▷▷▷