第6章 さよなら
目を覚ますと広いベッドで一人。
寝ぼけたままベッドから降り、服を着替える。
部屋を出ても、誰もいない。
“これが当たり前だ”
誰も家にいない。これが“当たり前”。
猿比古「・・・。」
猿比古は自分の部屋にあるスズメのぬいぐるみを見つめる。
いつから、あんなぬいぐるみあったっけ?
あんなぬいぐるみ、別にいらない。・・・けど、捨てたくない。
よくわからないけど、これは捨ててはいけない物だと自分の中の何かが叫んでいる。
猿比古「・・・意味わかんねぇ・・。」
自分の耳に付けているイヤリングを触りながら、猿比古はジッ・・・とスズメの首にあるネックレスを見つめる。
猿比古「・・・。」
心にぽっかりと穴が開いた感覚がした。