第6章 さよなら
「お探しいたしました、怜様。」
周りを囲っている大人たちは、怜に向かって全員頭を下げる。
何が、どうなっているんだ。
怜「・・・ひこ、ひこは、私の事・・忘れちゃうと思う。だけど、私は、忘れないから。だから、また、ひこに会いたい。」
猿比古は、怜の言っている事を理解しようとする脳が働いていなかった。
俺が、怜を忘れる?
怜「また、来るから・・・だから、」
猿比古「ふざけんじゃねぇよ・・・。」
怜「・・・ひこ・・?」
猿比古「俺が怜の事忘れるわけねぇだろうが。」
こんなに怒っている猿比古を見たのは、初めてかもしれない。
怜「・・・ひこ、私、楽しかった。ずっと、忘れない。」
猿比古「・・・ずっと会えなくなるのか。」
怜「・・会えるよ、きっと。何年後になるかは分からないけど、でも、私は会いたい。」
猿比古「迎えに行く。」
怜「・・・え・・。」
猿比古「絶対、迎えに行く。だから、怜は待ってろ。」
・・・あぁ、本当に。
怜「ひこは、かっこいいね。」
大好き。ひこ。