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My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ



『ピーピィイー!』

「そうやってすぐ泣き真似しないの!」

「ガァルルル!」

「ティムも威嚇しない!」


「まぁ…私が言ったのは、そっちの仲裁じゃないのに…また聞き取り間違いさせたのかしらクロエ…」

「…わざとでしょ、あれ」



私が掴んで引き寄せたのは、ユウとアレンじゃなくその頭上で飛んでいた二匹のゴーレム。
本当、中身まで二人に似て出会えば同じに火花を散らせて睨み合うんだから。
教団のマスコットがそんな物騒な姿見せないの!
可愛い姿が台無し!



「はい涙拭いてっティムも牙は隠すっそしてごめんなさいって頭下げるの。二人が良い子なのちゃんと知ってるからね、おねーさんは」

『ピィ…』

「ガゥ…」



ぼろぼろと零すユウのゴーレムの涙を拭いて、ティムの口を指先で叩く。
そうして促せば、しゅんと項垂れた黒と金のゴーレムは大人しく私の両手に納まった。
謝ってるかは定かじゃないけど、もう二匹のゴーレムの間に飛び散る火花は見えない。

よし、万事解決!
主より断然聞き分けがいい!



「よーしよしよしよし!ソーグッド!」



うりうりと、これでもかと二匹のまあるいボディを撫で回す。
もにゅもにゅしてるティムは弾力のあるマシュマロみたいで気持ち良い。
反するユウのゴーレムは硬いボディをしてるけど、つるつると滑らかな肌触り。
愛でれば二匹共に肌に擦り寄ってくる。

主より断然可愛いな!



「あれ、突っ込んだ方がよくて?」

「どうしましょう…」

「どうせ止められないんでしょ?だから現実逃避なんてしてるのよ」



外野の声をまるっと無視していたら、深々と呆れた溜息が聞こえた。



「……気分が殺がれた。やめる」

「同感です…」



溜息の主はユウ。
その隣で、肩を下げて苦笑するアレンが見えた。

あ。
二匹の主の喧嘩もどうやら終わったみたい。



「結果的には仲裁になりましたわね」

「た、偶々よ偶々!あたしは認めないんだからッ」

「ふふ。やっぱり雪さんは面白い御方ね」



イザベラの褒め言葉はよくわからないけど、まぁ、うん。
結果良ければ全て良しってことで。

万事解決。









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