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My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ



「ここは是非女神様の力でおひとつ…!」



この通り!と頭を下げれば、イザベラは優しい微笑みを一つ。



「無理です」

「えっ」



ばっさりと切って下さいました。

えええ…!



「なんで…っ」

「私があの二人を止められるとは思えません」

「いやいや、女神様なら大丈夫。寧ろ女神様にしかできないから…!」

「無理ですよ」

「そんなことは…ッ」

「それに、私に止める気がなくて。すみません」

「ええっ?」



止める気がない?
なんで?
テワクとクロエの引っ張り合いは止めてくれたのに。



「あんなふうに生き生きした神田さんを見ると、つい。ずっと見ていてしまいたくなるのです」



少し困ったように目尻を下げて控えめに笑うイザベラに、反発しようとしていた言葉は止まってしまった。



「最初は近寄り難い人だと思っていたけれど、人目に触れない所で人一倍努力をしている方だと知ってから…気付けば目で追うようになっていて。応援したくなってしまったんですよね」



ぽつりぽつりと、小さな声で主張してくるイザベラの思い。
…多分、私なんかよりずっとずっと前からユウのことを見ていて、理解しようとしてくれていたんだろう。



「いつも何事にも無頓着な御方だから。ああして感情を見せている姿は、目に止めておきたくなるのです」



だからごめんなさい、ともう一度申し訳なさそうに控えめに笑うイザベラに、私の声は完全に沈黙してしまった。
ただユウをアイドルのように見てきゃっきゃしてる人じゃなかった…本当に優しい心を持った人だったんだ。
きっとイザベラだけじゃない。
クロエも、イザベラがまとめてる人達なら他のクラブ会員だって。

本当に女神みたいな人達だ。



「だから雪さんにも感謝しているんですよ」

「え?私に?」

「ええ。雪さんの隣にいる神田さんは、今までになかった表情を見せてくれるから。ちょっぴり妬けますけど。ね」



ぱちんとお茶目にウィンクしてくるイザベラに、胸がきゅうとする。
ああ何この人、本当に女神。
ヤキモチをこんな可愛い仕草で表現できるなんてユウも見習ったらいい。
私が男だったらこんな人を恋人にしたい癒される。



「ということで雪さん。二人の仲裁、お願いしますね」

「…………はい?」

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