My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
「ええ、まぁ。神田さんがよく利用する座禅部屋の受け持ちは、私なので。其処で顔を合わせていたものですから」
「一応、だ。ミラーは営業外でも部屋の使用許可出せるからな」
ミラー!
今ミラーって呼んだ!
名前呼びじゃないけど、あの誰彼構わず安易に呼ばないユウが…!
ミランダさんだってずっと貧弱女って呼んでたユウが!
疑問を抱けば、これまたにこやかな笑みを返してくるイザベラに、ユウも嫌な顔一つしていない。
あのユウが。
男女構わず手を上げるあのユウが。
四六時中機嫌の悪い怒りんぼうみたいなあのユウが!
流石女神様!
「後光が見える…女神様万歳」
「あたしやっぱり入るわ…ファンクラブ」
「…何言ってんだこいつら」
「ふふ」
思わず合唱ポーズでクロエと女神様を拝む。
神々しい。
神々しさで光指す後光で目が眩む。
隣で顔を顰めるユウが霞んで見える程に神々しい。
多分ユウはファンクラブの存在をはっきり知らないみたいだけど、その肌で無意識に感じ取っているんだろう。
女神様の恭しさを。
だからイザベラ相手に邪険にしてないんだ女神様万歳。
「あ、雪さんっ」
その大変あり難みのある崇拝タイムを止めたのは、ぱたぱたと駆け寄ってくる足音と知った声だった。
この声は───
「はぅッ!天使が!神田様に駆け寄ってるッ」
「大丈夫?クロエ」
やっぱり。
ぱたぱたと小走りに駆け寄ってきたのは、同じく修練場帰りなのか。
軽い身形のアレンだった。
大丈夫かな、クロエ。
あれ、どう見てもユウに駆け寄ってはいないけど。
クロエフィルターにはそう映し出されてるのかな。
だとしたら凄い。
辛うじて私の背中にしがみ付いてるけど、一歩踏み間違えれば崩れ落ちてしまいそうな雰囲気。
大変悶絶していらっしゃいます。
「んだよ、急に顔出すなモヤ」
「大丈夫ですかッ?」
「う、うん?」
アレンを一目見た途端、思いっきり眉を潜めるユウなんて目も暮れず。
アレンはそのまま私の前まで駆け寄ると、急にがしりと両肩を掴んできた。
ユウに用事はないと思ってたけど、これは私に用ある感じだ。
な、何かな?急に。