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My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



恐る恐る首を横に振る雪を、神田は感情の見えない目で捉える。

確かにそうだ。
真実を隠されアルマと共に生きてきた。
否、生かされてきたのだから。



「教団に入ったばかりの頃、私も幼くて世間を知らなかったから。教団の教育指導を受けてたんだよね。ユウも受けたことあるでしょ?リナリーと一緒に」

「ああ…あれか」

「私はエクソシストじゃないから、別枠で受けさせられてたみたいで、二人のことは知らなかったけど…でも、一度だけ見たことあるよ。リナリーに叱られながら書庫室の隅で勉強してたユウのこと。すっごい仏頂面で」

「…いつの話だそれ」

「さぁ。もう何年も前のことだから、詳しくは憶えてないや」



何気なく雪が語り出したこと。
それは幼くして入団した者にだけ、義務付けられている勉学だった。
ティモシーもまたエミリアが専属家庭教師となり、クラウドの監視の下、指導を受けている。
昔の幼き雪や神田やリナリーと同じように。

時折雪の記憶力の良さに驚くことがあるが、神田自身そんな昔の出来事、頭の隅にも残っていない。
口煩く勉強しろと言ってきたリナリーのことは憶えていたが。



「でも仏頂面でも物事を学ぼうとしてたのは、前に進もうとしてた証拠だよね?だって人生を投げ出してたら、そんなことできないから」



それは雪自身が身を持って実感したこと。
生きることに意味を見出せず、世界なんてどうでもいいと投げやりになっていた時は、前など見ることはできなかった。
ずっと下を向き、考えることさえ止めていた。
神田が同じ絶望に陥っていたら、きっとあの時の書庫室での姿は見られなかったはずだ。



「前に進んでたかなんてわかんねぇよ。俺の生きる意味は教団(ここ)だと思ったから、仕方なく受けてただけだ」

「…それが"生きよう"としてたってことでしょ?生きようと、前を向いてたってことでしょ」

「……前なんか見ちゃいない」



見据えていたものは、アルマ越しに見つけた"それ"だけだった。
顔を上げたのは、その人を見つける為に。
立ち上がったのは、その人を追い掛ける為に。



「俺の目に映ってるのは、記憶の残像だけだ」



淡く儚い、純白と薄桃色の花。
視界を覆い尽くす花々だけが、生きる道だったから。

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