My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「ね。ユウはどんな子供だったの?昔」
雰囲気を切り替えるように、ぱっと笑顔で雪が問い掛ける。
唐突な問いにきょとんと目を瞬くと、神田は形の良い眉を再び───
「わー何その仏頂面」
「思い出話なんて興味ない」
眉間の中心へと窮屈そうに寄せた。
「ユウにはなくたって私にはあるの。ユウだって私の子供時代に興味持ってたでしょ。それと一緒だよ」
しかしそんな神田の性格は重々承知している。
肩の力を抜きつつ、雪は退きはしなかった。
「私みたいに、昔は子供らしい子だったとか?なんにでも興味持ったり、笑顔も浮かべ───想像できない」
「オイ。自己完結すんな」
「だって。想像できない。子供独特の無邪気な笑顔浮かべるユウとか。舌っ足らずに可愛く喋るユウとか。親をパパママ呼びするユ」
「親なんていねぇしいても呼ぶか!勝手に決め付けんな!」
「あたたっ!だから耳引っ張んないでって…!」
一人で勝手な妄想を繰り広げる雪の獣耳に爪を立てて黙らせると、神田は大きな溜息をついた。
「ったく……お前に似てたところはあったかもな」
「え?」
深々と溜息をついた後、獣耳を伏せる雪を見つつぼそりと神田は吐き出した。
「馬鹿な子供だった。世界のことをなんにも知らなかった癖に、一端に度胸だけ振り撒いて。一人で立っている気でいた」
静かに語るその姿に、獣耳を擦っていた雪の動作も止まる。
「自分の存在意義も知らなかった、馬鹿なガキだ」
「…それは…仕方ないよ。だってそう、育てられたんでしょ…?」
詳しいことは知らない。
しかし人造使徒計画に記載されていた情報は、雪の中に情報としてしまってある。
YUとALMA。
長い第二使徒計画の中で、限りなく成功に近付いた被験体はこの二体だけだった。
実質実験に成功したのは神田一人。
アルマは失敗作として忘却の底へと落とされたが、奈落へと落ちていった魂は他にもごまんとある。
実験は失敗の連続だった。
そのどれもが同じ理由だった。
移植した脳の記憶が戻り、自分の本当の正体と世界の非道さを悟った使徒達皆、気が触れて正気を保てなくなったからだ。