My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「あっ。でもね、良い思い出も偶にはあったよ」
はたと思い出したように、雪が顔を上げる。
そこには確かに笑顔と呼べるべきものが浮かんでいた。
「今日みたいなハロウィンの日に、お菓子食べ過ぎたライアンがもう要らないって残しちゃったから。そのお菓子貰えたの。初めて食べたチョコバー、すっごく美味しくて吃驚したなぁ」
「相変わらず食い気…って待て。ライアンて誰だ」
「うん?小母さんの子だよ。私と歳が近かったから、小さい頃はライアンに色々教わってたんだ。口は悪かったけど」
「………」
「え、なんでそんな怖い顔…ってまさかライアンが気に入らないの?ただの子供だよ」
「でも男だろ。他人だろ。一緒に寝食してたんだろ」
「いやいや、男女の概念なんてなかったから。それに私は離れで寝食してたから、同じ屋根の下で暮らしてなかったし。ユウが思うようなことは何も起こってないよ」
「本当か」
「本当です」
はっきりと言い切る雪は、誤魔化しているようには見えない。
それ以上突っ込んでも、過去が変わる訳でもなし。
小さな溜息をつくと、神田はそれ以上の問いは止めた。
「……ライアンって言ったか」
「? うん」
ただ。
「名前からして、そいつ東洋人じゃねぇだろ」
ふと気に掛かったことが、一つ。
「それが親戚だってことは…異国の血も混じってんのか。日本国籍だしその見た目だから、お前は日本人かと勝手に思ってたが違ったんだな」
軽い気持ちで口にしたのだろう。
何気ない神田の問いに、しかし雪の口は咄嗟には開かなかった。