My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
さらりと言い切る神田を見つめて、両手を胸の前で握り締める。
「………」
「んだよ、また黙り込んで」
「…ううん…私、やっぱりユウが好きだなぁって。そう思ってただけ」
「なんだ今更」
「今更そう思っただけだよ。…もし小母さん達に会えたなら、その時はいっぱいユウのこと自慢するね。この人が私の大好きで大切な、かけがえない人だって」
ふわりと微笑み、神田の胸に寄り添う。
それが実現などしないことはわかっていたが、それでも言わずにはいられなかった。
微笑まずにはいられなかった。
「ありがとう」
「…別に。大層なことなんて言ってねぇよ」
「うん。だから嬉しいの。ありがと、ユウ」
神田にとっては大事ではない、当たり前に持っている感情。
だから尚の事胸に響くのだ。
「………」
擦り寄る雪の体を、受け止めるように抱く。
視界の端にちらつくのは、ぱさりぱさりと揺れる尾。
神田とは別の形で、一匹狼のような存在だった雪。
それがこうして目に見えてわかる程に、甘えを見せてくる存在になった。
まるで懐かなかった獣が、やっと素を見せてくれるようになったような感覚。
そう悟れば、じわじわと神田の奥底から浮かぶ甘酸っぱい感情。
「チッ」
「…なんで舌打ち」
「なんでもねぇよ」
思わず舌を打ちながら顔を背ける。
上手く言葉にはできない。
しかしその感情の正体を神田は知っていた。
愛らしい、可愛らしい、と思える。
愛情の含んだ好意だ。
それをアレンやラビならば簡単に言葉に変えて伝えるのだろうが、神田は違った。
今はどうにも気恥ずかしさが際立つ。
コスプレのような雪の半獣姿に絆されたなど。