My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「…それは、遠い親戚って所に預けられてた時のことか」
「うん。ジジさんやクロス元帥やジェリーさんみたいな、物事を嫌な顔せず教えてくれる優しい大人は、私の周りにはいなかったから。質問攻めしてたら煩いって怒られちゃって。あんまり出せなくなったかもしれないなぁ」
聞く限り、決して良い子供時代ではなかったのだろう。
しかし思い出すように話す雪には、哀愁のようなものは見えない。
悲しげに重々しげに話さない所は相変わらずの姿で、だから神田も余計に突っ込むようなことはしなかった。
物事の捉え方なんて人それぞれ。
当事者である雪がそうして語るならば、他人が悲観して見る必要はない。
神田自身、他人を哀れむ心など早々持ち得ていない。
それよりも大事なのは、今ここで雪が存在している事実だと知っていたからだ。
「良い思い出はあんまりないけど、それでも余所者でお荷物だった私を育ててくれた人達だから。そこに感謝はしてる」
「…なら礼を言わないとな。俺も」
「ユウも?なんで?」
「今の雪が在るのは、その人間達の存在も在ったからだろ。今のお前に俺が会えたのは、少なからずそいつらのお陰でもある」
雪に目を向けるようになった、初期の頃。
神田は雪以外には微塵も目を向けようとはしなかった。
雪の過去も。
生い立ちや生き様も。
何もかも関係ないと、今の雪だけを真っ直ぐに見る神田に、雪自身もあり難さを感じていた。
しかし今はどうだ。
現在だけでなく、それを取り囲む雪の過去も未来も抱えようとしている。
そんな神田に、雪の中で湧き上がるのは新たな感情。
嬉しいと思った。
もっと見て欲しいと思った。
同情されたい訳じゃないから、今まで吐き出してこなかったこと。
しかし神田はそんな目で見ないことを、もう知っていたから。