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My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



「………」

「なんだよ、急に黙り込んで」

「え?…ぁ、いや…」



訝しげな神田の視線を浴びて、目を瞬く。
一瞬脳裏に浮かんだ記憶は、いつのものだっただろうか。



「…遊んだ記憶、あるかもなぁって」

「人形でか」

「うん。幼い時の両親との記憶、あんまりないんだけど…そういうこと、してたかもしれない」



朧気に憶えている両親の記憶は、小母の下へ連れていかれた時のこと。
それより前の記憶はほとんど雪にはない。
それでもふと浮かんだ微かな記憶は、小母の下へ連れて行かれる前のものだった。

大きな手で差し出してくれた玩具の人形。
薄らと微笑んでいた口元。
あれは父親の姿だったのか。

"両親"と口にする雪に、じっと神田の目が止まる。



「…どんな子供だったんだ。昔のお前」



ぽつりと問われた言葉は、初めて神田の口から聞いたものだった。
普段から他人に興味を示さない神田が、興味を持って問い掛けてきている。
それだけで、雪の目は驚きでまたぱちぱちと瞬いてしまう。

昔なら伝えられなかったこと。
しかし今は違う。
それは昔の神田がこうして変わったように、雪自身も変われたこと。

嘆く為に伝えるのではなく、幼き自分も引っ括めて月城雪として伝える為に。



「んー…頭の緩い子供だったと思うよ」



思い出すようにして苦笑した雪の頭に浮かぶは、先程夢に見た昔の光景。
ハロウィンに純粋に憧れ夢を見て、その光の輪に真っ直ぐ手を伸ばしていた頃の自分。



「小さい頃は、知らないことが人より多くて。学校には行かせてもらえなかったから…かな。知識が足りてなかった気がする。だからいつも周りを質問攻めにしてた。好奇心旺盛な極々普通の子供だったよ」

「………」

「私っぽくないでしょ?」



へら、と緩い笑みを浮かべる雪は、決して自虐の表情ではない。
しかしその言葉は的を得ていた。
今の雪しか知らない神田には、想像のつき難い姿だった。

他人に一歩線を引いて関わっていた雪は、なんでも自分一人で成し遂げることが多かった。
肝心な時程他人には甘え頼らない。
それが神田の知る雪の姿だ。

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