My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「───…っ」
(言葉の負けなんかじゃない…ユウがただ横暴なだけだ、絶対!)
「何顔伏せてんだよ。こっち向け」
「……やだ…」
結局。
神田の手で体を綺麗にされ、羞恥で枕に押し付けた顔を雪は上げることができなかった。
「もう終わっただろ。顔上げろ」
「………」
「今更だろうが。お前の体なんて隅から隅まで見てる。形も色も匂いも知っ」
「わー!言わなくていいそんなこと!」
淡々と語り出す神田に、がばりと顔を上げると堪らず雪は声を張り上げた。
真っ赤な顔で若干涙目にもなっている雪の金瞳と、神田の漆黒の瞳とが、ばちりと合う。
「やっと向いたな」
ふ、と神田の口元に浮かぶ柔らかな曲線。
毒気を抜かれる程に優しい笑みを見て、雪はぱちりと目を瞬いた。
「触れ合っていたいって言ったのはお前だろ。ならちゃんと顔見せてろ」
お互いに肌は晒したまま。
神田の大きな手が雪の背中に回され、緩く引き寄せる。
向き合う形で腕の中に閉じ込められたまま、雪はヘナヘナと顔を俯かせた。
「………狡い…」
「何が」
「無自覚なのはユウの方だよ…」
恋愛事に計算高いはずもないだろう。
そんな神田が向けてくる感情の一部だからこそ、心は揺さぶられるのかもしれない。
伏せる雪の視界の端に映り込む、さらさらとした漆黒の長い髪。
汗を掻いた後でも心地良い肌触わりを纏っているのは、流石と言おうか。
しかしいつもはきちんと固く結ばれている髪は、今日は緩めに髪紐で結われていただけ。
激しい動作の中で緩んだのだろう、解けかけているそれに雪はふと手を伸ばした。
「ユウ、解れてる」
「?…ああ、」
「あ。私にやらせてっ」
長い神田の指が髪紐に伸びる。
その爪先が触れる前に、雪の手が黒髪へと触れた。
キューティクルの乗った艶々とした黒髪。
天使の輪もはっきりと見て取れる神田の髪は、女性顔負けな程の美髪だと教団内でも有名なものだ。
さらさらと指の隙間を零れ落ちていく質感に、雪も口元を綻ばせた。