My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「それより…何、この状況…」
神田に対し喜びの表現を見せていたのも束の間。
雪は不意に大きく肩を下げると、落胆に満ちた声を漏らした。
彼女の眼下に広がるは、無残にズタズタに引き裂かれた真綿の見えるシーツ。
所々には血痕の跡が見え、まるで凄まじい殺人現場のような跡地に見えなくもない。
決して情事後の跡地だとは誰も思えないだろう。
「結局この爪がまた邪魔しちゃった…ユウのベッド、ぼろぼろ…」
「寝具なんざ変えればいいだけの話だろ」
「簡単に言うけど、このマットレス手配するの大変だったんだからねっまだ在庫があるかどうか…」
「なら他の寝具にすりゃいいだろ。俺は別に拘る必要なんかない」
「ユウがそうやって無頓着だから、私が拘るの。じゃなきゃ終いには床の上で寝だしそうだし」
「それの何が悪いんだよ」
「悪いから!色々と!絶対体に悪いから!」
それくらいで鍛えた体が鈍るはずもない、と否定しそうになって言葉を変える。
そんなこと、雪だって充分理解しているだろう。
(お節介焼きな所は相変わらずだな)
昔はそんな雪を見ていて苛々したことも多々あったが、自分に向けられる行為となるとこうも見え方は変わるのか。
どこかくすぐったくも感じる好意に自然と口元を緩ませながら、神田は息をついた。
「じゃ、暫く雪の部屋で寝る」
「はい?」
「お前の部屋なら寝心地良いからな」
「寝心地って…そんな大層なベッドなんてないけど…」
「お前がいるだろ」
教団の一人用の部屋はどれも同じ造りで、それぞれに選ぶ家具や装飾で個性は出るものの大した差はない。
それでも決定的に違うことは、そこに尽きる。
「雪がいれば安眠できる」
「………」
「…尻尾揺れてんぞ」
「んな」
黙り込んだ彼女の背中で、ゆらゆらと揺れる尾。
折角受け流したことを言ってしまったのは、不可抗力に近かった。
そんなに素直に喜びを表現されたら、突っ込みたくもなる。