My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「色々情けない姿も見せちゃったけど…私、そんなに弱くないから」
「………(知ってる)」
とは口には出さず。
神田はじっと雪の後ろ姿を見つめた。
雪が簡単に他人に甘えを見せない性格なのは、知っている。
しかしそれとは別に、彼女は芯の強さを持っている。
(俺が雪だったら、今こうして笑うこともできやしねぇのに)
周りを憎み跳ね除けて生きてきた神田とは違う。
一歩線を引きながらも、拒絶することなく教団の者達と関わり生きてきた雪。
それが単なる表面上の関係だけなら、アレンやラビがノアと知った雪にあんな態度を示そうか。
コムイやティエドールが、ここまで雪を気に掛け守ろうとしようか。
単なる取り繕いだけではない。
そこに確かに、雪の心が在ったからこそ。
それは到底神田では真似できないと思ったものだ。
真似をしようとは思わない。
人の生き方なんて人の数程様々だ。
しかし雪の生き様は神田の知る限りでは、複雑で早々類を見ない。
だからこそ目を見張る。
「…弱いなんて思ってねぇよ」
ぽつりと呟いて、噛み跡を残した首元に神田は顔を埋めた。
「でも俺だって大事なもんはこの手で守りたいと思うし、頼って欲しいと思う」
「………………はい?」
「あ?」
「はい?」
「……んだその間抜け面」
「いや………はい?」
「殴るぞコラ」
驚愕のぽかん顔。
神田の言う通り、間抜けにも見える拍子抜けな顔で雪は首を傾げ続けた。
なんとも日頃の彼からは想像のつかない言葉の数々を聞いた気がする。
空耳だろうか、と。
「その真っ向から俺を否定する癖、前からやめろつってんだろ。殴るぞ」
「ぃたッ!痛い痛い!もう手出してるから痛い!」
ぐいぐいと柔らかな獣の耳を掴んで引っ張る。
痛みに顔を渋めながら、しかし雪の声は本気の悲鳴は上げていない。
どことなく戯れてるようにも見えるのは、神田自身が本気の力など到底及ばないもので手を出しているからか。
「痛いってば───…んっ」
振り返り抗議する雪に落ちてきたのは、唐突な接吻だった。