My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「え、と…」
血を飲みたいと言われて「はいどうぞ」なんて即答できるはずもない。
どう応えるべきか。
戸惑いを隠せないまま、雪は揺らめく神田の瞳から咄嗟に視線を逸らした。
じっと見つめていれば、深紅の瞳に呑まれてしまうような気がして。
応えに渋る雪の様子に、予想通りだと握っていた手を神田は放した。
無理難題を言っている自覚はある。
そして無理に雪を傷付けてまで、その血を味わいたいとは思わない。
その前に理性は働く。
今はまだ。
「血が欲しいって…吸血鬼(ヴァンパイア)?なんだかクロウリーみたい」
「さぁな、んなことわかんねぇよ。ただ、飲まなきゃ死ぬ訳でもねぇだろうし……悪かったな。変なこと言」
「いいよ」
「…………あ?」
会話の最中にさり気なく舞い込んできた了承の言葉。
反応が遅れても仕方がない。
「いいよ。…ユウが欲しいなら」
深紅の切れ目で雪を凝視すれば、俯きがちに頷く姿が見えた。
どうやら聞き間違いではなさそうだ。
「…言ってる意味わかってんのか」
「わかってるよ。ユウだってくれたでしょ?私が怪我した時に、自分の血。だから今度は…私があげる。治癒力なんてない普通の血だけど…」
それに怪我もさせちゃったし、と申し訳なさそうに雪の目が神田の血に染まった両手を見つめる。
どうやら罪悪感も混じった上での了承らしい。
同情を嫌う神田だが、今は理由なんてどうでもよかった。
雪の血を求める欲の方が強い。
それが許されるならば、止める気はない。
「…後で文句なんて聞かねぇぞ」
「大丈夫。女に二言はないよ」
大いに出血させてしまった神田自身の血が、吸血欲の引き金となってしまったのかもしれない。
それを思えば責任は怪我をさせた自分にある。
どうぞと言うように目を瞑り、きゅっと唇を噛んで構える雪。
カチコチに緊張している姿に、神田は再びそっと手を伸ばした。