My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「何、じゃあお腹空いてるの?別に耐えなくていいんじゃ…食堂行くなら付き合うよ」
「それも違う」
「? じゃあどういう意味。わかんないんだけど…」
「腹より喉が渇いて仕方ねぇんだよ。…飲みたい」
「水なら取って来」
「水じゃない」
疑問符を浮かべたまま首を傾げる雪の手に、今度は舌を這わせる。
「これが欲しい」
自分の血でも、味わえば強い酒をあおった時のようにくらりと思考が揺れる。
脳天が痺れて、もっと欲しいと欲が出る。
これだけじゃ足りない。
求めるのは自分の体を流れるものではない。
目の前の彼女の血が欲しいと、ドクリドクリと鼓動が喚くのだ。
「これ、って…何、言って…」
ぴちゃぴちゃと音を立てて、指の間に付着した血を舐め取っていく。
予想外の神田の姿に息を呑んだ雪は、目を逸らすこともできずに凝視していた。
「───!」
その金瞳が捉えたのは、舐め取り開く神田の口の中。
雪の牙と同じに、鋭く尖る白い牙だった。
「まさか…ユウも食べたのっ?ハロウィンクッキー!」
思い当たるものはそれしかない。
はっとした雪が声を張り上げれば、ピタリと神田の動きが止まる。
「………」
「ゅ…ユウ?」
そして。
「…酒のつまみに紛れてた」
「まじでか」
どうやら彼もクッキーの被害者であったらしい。
「なんで黙ってたの…!言ってくれればよかったのにッ」
「支障ないと思ったんだよ。…お前に会うまでは」
神田の目が雪を捕らえる。
黒曜石のような漆黒の瞳であるのに、何故かゆらゆらと深紅が入り混じり揺らめいている。
妖艶にも見える色合い称えた瞳に、そわりと雪の肌が粟立った。
「雪の傍にいると、血流の匂いや音が伝わってくるように感じる。喉が渇く。…飲み干したくなるんだよ」
肌の呼吸音や、喉が嚥下する音。
それさえも敏感に耳は拾い上げて、体が渇望するのだ。
「雪の血が欲しい」
「…っ」
揺らめく深紅の混じった瞳。
食欲と言うには物優しい。
これは性として体を貪る時の神田と同じ、捕食者の欲だ。