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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



「…嘘。いやいや、まさか」


 思わず否定しながら、恐る恐る扉に近付く。
 小窓の隙間はほんの僅かなものだったけれど、これだけの隙間なら蝶々一匹くらい簡単に通り抜けられる。

 ……え、まさか本当に外に出ちゃった?


「食人ゴーレムって言ってたよね…」


 ロードの言葉に嘘がないなら……だ、大丈夫なのかな。
 軽く指先に触れただけで噛み付くような、見た目に反して随分凶暴な性格だった気がするけど。

 …外の警備員さん、襲われたりしてないよね?

 恐る恐る小窓の隙間に顔を近付ける。
 目を細めて見ても、外から差し込む灯りが眩しいばかりでよく見えない。

 た、倒れたりしてない、よね…?

 …まさか。
 いくら食人ゴーレムだって言っても、あんなに小さな蝶々だったし。
 警護班の人ならそれなりに体も鍛えてるはず。
 多分、大丈夫。

 …多分。


「なんてったっけ……ティーズ?」


 とかいう名前だったっけ、確か。
 ロードがそう言ってたような…。

 そんな名前、科学班で聞いたことない。
 となればやっぱりあれは、科学班で作られたゴーレムじゃないのかな。

 ティーズ……?


「?」


 そういえば。
 似たような名前、何処かで聞いた。

 ティース…違う。
 ディーズ?
 いや、なんかもっとこう…すっきりしてた名前。

 イース…イース?


「あ。イーズ」


 ぴんときて顔が上がる。
 そうだ、イーズ。

 それから、あと2つ。
 何か、名前のようなものを教えてもらった気がする。
 果物の名前に似てて───


「…モモ」


 そうだ、モモ。
 それから、あと1つ。


「クラック」


 最後の名前はすんなりと出てきた。


「イーズ…モモ…クラック」


 そうだ。
 3つの…確か、人の名前。

 誰かに教えてもらった。
 自分の好きなものだからって。

 誰だったっけ…あれは──…


「…イーズ、モモ、クラック…」


 名前を繰り返す。
 だけど思い出せそうで今一歩、引っ掛かって思い出せない。

 あの人の名前。
 彼らと一緒に食べるご飯が、美味しいって。そう笑ってた。
 …ような、気がする。

 誰…だったっけ。

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