My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
いい加減諦めないと。
望みなんて持ち続けても、叶わない分自分が傷付くだけだ。
そんなこと昔から嫌と言う程思い知らされてきた。
小母さんの下でも、教団の下でも、私の欲しかったものは手に入った試しがない。
だから高望みなんてやめた。
本当に欲しいものができた時に、手を伸ばすことはやめたのに。
でも、あの人は初めて手に入ったものだったから。
「諦め…悪いな…」
だからみっともなく縋ろうとしてるのかな…一度でも、手に入れてしまったから。
本当、諦めが悪い。
俯いて自分自身に悪態をつく。
無視しようとしても、心のどこか隅っこで微かに望んでいる自分がいることがわかったから。
俯いた視界に広がるのは、硬くて小さなベッドのシーツ。
「…?」
そこに見知らぬ固形物を見つけて、目を止めた。
…あ。これ…
「…リボン」
指先で摘まんで拾い上げる。
シーツに落ちていたのは、赤い小さなリボンだった。
何かに括り付けられている訳でもない、ただの結ばれた赤いリボン。
なんだっけ…なんだか、これ…何処かで見たような──
「あっ」
そうだロード!
はっとして辺りを見渡す。
憶えてる。確かに、はっきりと。
私の名前を知っていて、出会えたことを心底喜んでいた、謎の動く女の子の縫いぐるみ。
"ロード"とその謎の縫いぐるみは、名を名乗っていた。
「…夢…じゃない」
夢なら、この手の中にあるリボンの感触が矛盾する。
このリボンはロードが服に付けていたリボンだ。
間違いない、はっきり憶えてるんだから。