My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
✣
闇。
目覚めた私を出迎えたのは、変わらない冷たい石の壁だった。
「……」
意識がゆっくりと浮上する。
深い深い意識の欠片もない世界から、目覚めるように。
…なんだか…こんなに深い眠りに落ちていたのは、久しぶりな気がする…。
横になったままじっと石の壁を見つめていたら、じわじわと思い出したかのように体中が痛み始めた。
…ああ、そっか。
そうだった。
暗闇に慣れた瞳に映る自分の腕には、丁寧に巻かれた包帯。
婦長さんが手当てしてくれたんだっけ…この、火傷。
「…っ」
思い出しただけで身震いがする。
聖なる十字架を掲げて、強い光で私の身を焼くイノセンス。
"神の結晶"なんて呼ばれているけれど、私には悪魔の結晶のように見えて仕方なかった。
あれは私には"毒"のようなものだ。
それと同時に思い知らされる。
やっぱり私は、エクソシストとは相反する存在になってしまったんだ。
ジャラ…
ゆっくりと硬いシーツに手をついて身を起こす。
痛む体を庇うように体を動かせば、繋がれた鎖が擦れて音を立てた。
再び檻に戻されて、繋ぎ直されてしまった鴉の枷。
術で繋いでいるんだろう、鎖の先は溶接跡なんてなく、同化するように壁としっかりと繋がれていた。
また此処へ逆戻り。
檻の外に出れば、ユウに会える可能性があるかもしれないなんて…淡い希望だった。
会える訳がない。
偶然ヘブラスカの間にユウが足を運ぶだなんて。
そんな都合の良い展開、訪れる訳がない。
「……」
これは映画や漫画の世界じゃないんだ。
現実に起こってること。
自分がピンチの時に、都合よく助けに来てくれるヒーローなんて…いない、のに。
「…っ」
そんな夢物語、ある訳ないのに。
なんでこんなに心はまだ痛み続けるんだろう。