My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
エクソシストとノアの接触は禁止されている。
許可が出ていない時点で会えば、然るべき処分が待っていることは誰にでもわかる。
神田が案じているのは自身への処分ではなく、恐らく雪への処分。
でなければここまで感情を殺して動かない理由が見当たらない。
神田は雪を見捨てた訳ではなかった。
そう悟ったマリは安堵したものの、顔の渋みは消えなかった。
例えそうだったとしても、ラビが言うように無知は罪。
その感情は知らせなければ、誰もわからないこと。
神田の怒り以外の感情を上手く他人に向けられない不器用さは、知っていた。
しかしこのまま岩のように沈黙を作っていては、良い方向に転びはしないだろう。
「やれやれ」
触れるなと拒否してくる神田に、どんな言葉を投げかければいいものか。
思い悩むマリの後ろから、呆れた溜息が跳び越えてきた。
「ユーくんって本当、不器用だよねぇ。そういうところ」
マリが思っていたことを、あっさりすっぱり言葉に変えて。
「雪ちゃんの為に会わないと言っているんだろう?」
「…へ?」
「し、師匠…」
やれやれと肩を竦めて零すティエドールの言葉に、ぽかんとラビの目が向く。
同じく目を向けた神田の顔に、初めて感情が宿る。
余計なことを言うな、という怒りの色に、マリは慌ててティエドールを呼び止めた。
しかし片耳に小指を突っ込んでぐりぐりと掻きながら、平然とティエドールの態度が変わることはなかった。