My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「そうやってすぐ暴力に訴えてばっかで。少しは頭使えよ単細胞!」
「お…おい、落ち着けラビ」
「いい度胸だ。完膚なきまでに潰してやる」
「神田も! 此処で暴れるのはやめろ!」
煽るラビに、席を立った神田が殺気を漏らしながら拳をボキボキと鳴らす。
一発触発な二人の間に、慌てて割り込んだのはマリ。
しかし互いの目は互いしか見ていない。
アレンと神田もこうしてよく喧嘩をすることはあったが、ラビと神田はほぼ無いに等しい。
それは常にラビがやられ役として成立していたからだ。
神田の殺気に気圧されて、尻込みすることが多かった。
神田は通常通り。
ラビがこうして敵意を剥き出しにすることの方が珍しい。
「退けマリ。先に喧嘩売ったのはあいつだ」
「オレは話があるって言っただけさ。大事な時くらい聞く耳持てよ…! じゃねぇと大事なモン見失うぞ!」
「なら勿体振らずに話せよさっさと! テメェがうじうじしてるから時間掛かってんだろが!」
「オレにもオレの事情があるんさ! ユウみたいに単純に生きてねぇっての!」
「ァあ!? テメェが俺の何を知ってるってんだよ! 知った口利くんじゃねぇ!」
「おい、いい加減にしろお前達…!」
マリの横を素通りして、ガッと強くラビの襟首を掴む。
至近距離で殺気を飛ばす神田を、ラビも臆することなく睨み返した。
一発触発。
そのまま殴り合いの喧嘩にでも発展しそうな勢いに、慌ててマリが二人に手を伸ばした時。
「おやおや。血気盛んだねぇ」
その場の空気にそぐわない、のほほんとした声が響いた。
同時にギシッと動かなくなる神田とラビの体。
「「!?」」
否、動けなかった。
固まる体に驚き見下ろせば、四肢には謎の複数の植物の蔓が絡み付いていたのだ。