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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



「いやぁ、こうしてユーくんとお酒を酌み交わすのは久々だねぇ」

「……」

「あの時もそんな仏頂面で飲んでたよねぇ、ユーくん。それと同じお酒だ。気に入ったのかい?」

「……別に」


 顔を背けて素っ気無い態度を取る神田の姿勢は、今に始まったことではない。
 渋々とでも席を立たずこの場に留まっているのは、まだ良い方だ。

 そんな神田に微笑みながら、ティエドールは手にしていたテキーラのラベルを見つめた。
 "Casa Noble"と書かれているそのテキーラは、コアな人気を誇る銘柄。
 癖の強い飲み味で、初心者向けではない。
 ティエドールも慣れないもので三口程飲んだところで、目の前はふらふらと回り始めた。

 それに比べて神田は変わらず涼しい顔。
 仄かに酔ってはいるのだろうが、顔に出るまでには至っていない。
 昔から酒が強いとは思っていたが、ここまでとは。
 これは潰れないようにしないと、とティエドールは苦笑混じりに瓶を机へと戻した。


 コンコン


 そこへ控え目に鳴り響いたのは、ドアの向こうのノック音。


「おや? こんな時間に誰だろう…どちら様かな?」

『すみません師匠、夜分遅くに。マリです』

「マーくん? どうぞ入って」

『失礼します』


 ドアの向こうの人物は、よく知った弟子である一人だった。
 こんな遅い時間帯に何事かな、と首を傾げるティエドールと、静かに顔を向ける神田。
 二人の目に映ったのは、見知った大柄な彼だけではなかった。


「あー! いたさユウッ!」


 開いたドアの向こう。
 マリの隣に立っていたのは、ぱっと目立つ赤毛に眼帯の青年──ラビ。
 マリが言葉を発するより早く、隻眼が神田を捉えると歓喜の声を上げた。

 一体何事か。

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