My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
雪が眠りについた、深い地下室の牢獄。
其処から上へ上へと上がった地上にある、教団のとある一室。
聞こえてくるのは、鼻を啜る盛大な泣き声だった。
「えぐっ…それが…室長に聞いたら、もうティモシーの配属部隊は決まったって言ったんだよ…」
「……」
「私に一言、相談してくれたっていいのに…ぐすっ」
「……っ」
「確かにクラウドは素晴らしい元帥だと思うよ? でも私だって愛情込めてティモシーを育てられるのに…っズビビーッ」
「…~ッ」
「酷いよねぇ…そう思わないかいユーくんっ!」
「思わねぇよこのクソ親父ッ!!!」
真っ赤に腫れた目で、おいおいと涙を溢しながら同じに真っ赤な鼻をティッシュで啜る。
さも同意されて当たり前と言わんばかりの師の問いを前に、神田は一切迷うことなく切り捨てた。
「なんで下らねぇあんたの愚痴を聞いてやらなきゃならねぇんだよッそれは俺の酒だ!」
「いいじゃないか、折角だし。偶には親子水入らずで酒を片手に語り合うというのも」
「色々間違ってんだよ。俺はあんたと親子じゃねぇし語り合いにもなってねぇ。単なる愚痴だろ、うぜぇッ」
バンッ!と荒々しく机を叩く神田に、その衝撃で瓶やグラスが倒れないようにさっと取り上げ回避するティエドール。
部屋に充満しているのはアルコールの匂いと、つんと微かに鼻を突くような濃い絵の具の匂い。
周りは部屋が埋もれる程の、スケッチブックやキャンパスや絵の具で溢れ返っていた。
地表から更に高い上層に設置されているこの部屋は、元帥が一人。フロワ・ティエドールの自室である。