My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
──ガチャン、
重い独房の扉が閉まる。
中から出てきた人物に、待機していたコムイとバクがはっと顔を上げた。
ランプと医療箱を手に立っていたのは婦長。
その顔は暗い色を宿していた。
「婦長、雪くんは…」
「月城は大丈夫なのか?」
「全身酷い火傷状態でしたが、必要な治療は終えました。命に問題はないです。…でも、問題なのは体より心ですわ」
婦長の表情にコムイ達にも不安な色が移る。
暗い空気を纏ったまま、婦長は静かに首を横に振った。
「あの子に何をしたんです? どうしたらあんな状態に…とても見ていられたものじゃありません」
「それは…」
「どう考えてもルベリエの所為だ、くそ…ッレニーにもあんな腐った所業をさせて…!」
「ルベリエ?…ルベリエ長官が来ていらしてるの?」
「あ、いや…っ」
「もう。バクちゃん」
「す、すまん」
ルベリエが教団に訪れていることは、まだ極秘のこと。
軽はずみなバクの発言を咎めながら、諦めたようにコムイは溜息をついた。
「まぁ近いうちに皆に伝えるつもりではいたからね。婦長、僕が発表するまではそのことは黙っててもらえるかい」
「…わかりました。ただしあの子に何かあったら、すぐに私を呼んで下さい。今のあの子には誰かが傍に付いていてあげないと…状況が状況だから…あの子の心の拠り所を作るのは、難しいでしょうが…」
「拠り所か……それが誰なのかは、わかってるんだけどね…」
医療班としての立場で雪の容態を心配する婦長を前にしながら、コムイは暗い地面を見つめて小さくぼやいた。
雪に今必要な人物はわかっている。
彼に雪の希望を伝えるとも約束した。
なのに結果的に、こんな事態となってしまった。