My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「マリは知ってるんさ? ユウが酒飲む時何処に行くか」
「さぁ、そこまでは…自室じゃないのか?」
「それがいなかったんさ」
しかしそこまでは詳しく知らなかったのか。問いかけるラビに、マリは静かに首を横に振った。
自室以外で酒を飲むとしたら何処なのか。
マリでも知らないのに、ラビに思い当たるはずもなく沈黙ができる。
「あ、あの…ラビくん。そろそろ放してもらえないかしら…?」
「あ、悪ィっ」
難しい顔のままミランダの両肩を未だに掴んでいたことに気付いて、慌てて手を放す。
そんなラビに、いいのよと笑いかけながら、ミランダもまた不安げな表情でおずおずと伺ってきた。
「あの…私も聞きたいことがあるんだけど。いいかしら…?」
「へ? なんさ?」
「これくらいの大きさの、女の子の縫いぐるみを見なかった? ボタンの目に糸で縫われた口をしているんだけど…」
「縫いぐるみ?…いや、見てないけど」
女の子の縫いぐるみ、なんて単語を聞けば前に雪とチャオジーと共に向かった中国任務での嫌な記憶が蘇る。
思わずぶるっと軽く身震いしながら、そんな思考を追い払うかのようにラビは首を大きく横に振った。
「そうなの…何処にいっちゃったのかしら…」
「やっぱり持ち主が見つけて、持っていったんじゃないのか?」
「なんさ、縫いぐるみって」
「森の入口で見つけたの。誰かの落とし物かもしれないから拾ってきたんだけど…食事中に、隣の椅子に置いていたはずなのに、いつの間にか消えちゃってて」
「……ふ、ふーん…」
特に気にした様子なく反応は返せたが、そういうホラー要素のありそうな出来事は勘弁して欲しいと内心は冷や汗だった。
人形関連の心霊現象は、あの中国任務だけで充分だ。