My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「ラビ!」
「一人にさせろよ! 悩み多き年頃なんさオレ!」
今度は振り返ることもなく、一目散にヘブラスカの間を出ていく。
雪へも、一度たりとも目を向けずに。
「ったく、なんもしねぇっての…っ」
扉を出たラビの足は、止まることなく暗い通路を駆けてゆく。
目的の場所は決まっていた。
("オレは"な)
傍観者である自分は、雪に関与することはできない。
しかしそんな自分に彼女は助けを乞うたのだ。
この状況を己の手で打破することはできないが、道は見つけ出せるかもしれない。
ブックマンがラビの心情を知れば、それはただの屁理屈だと怒るであろう。
しかしそれでもラビに止まる気はなかった。
「悪ィなジジイ。遅いか早いかだけさ」
コムイは雪の願いを聞き入れ、神田に事を伝えると承諾した。
ただそれを、自分が代わりにやってのけるだけだ。
結果は同じ。
神田に伝える経緯が、遅いか早いかだけ。
そしてそれは早いに越したことはない。
雪の些細な言葉無き悲鳴を、切り捨てては駄目だ。
振り絞って示した行為を、無かったことになんてできない。
そこに手を差し伸べられる者はいる。
自分では敵わないと思い知らされた、自分と同じに雪への想いを抱いた、エクソシスト仲間である彼。
──神田ユウだ。