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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



「今回の千年公って、やけに慎重だよな。大概は俺らの我儘許すのに」


 疑問を抱くように、扉の向こうの闇を見つめながらふとティキが呟く。

 ノア側とエクソシスト側。
 両勢力が狙っている"ハート"と呼ばれる特別なイノセンス。
 七千年前に一度、千年伯爵を倒したと言われるそのハートのイノセンスの可能性を予想して、一度リナリーを崩壊する方舟へと閉じ込めた。
 その際にアレンや神田達、他のエクソシスト達もついて来てしまった。
 しかしそれならばエクソシスト勢力を方舟の崩壊に巻き込んで一網打尽にできると、寧ろ好都合なもの。

 しかし彼らは死ななかった。

 ただ崩壊してゆく方舟の中で身動きの取れない状態。
 そうであったはずのアレン達に、ティキが手を差し伸べたからだ。
 命を懸けた生き残りゲームと称して。

 そこで更にロードやジャスデビ、スキン・ボリックも参加して好き勝手暴れた結果、アレン達は誰一人欠けることなく生存。
 方舟の中にあったAKUMAの卵は奪われ、崩壊させるはずだった方舟さえもアレンに操られ乗っ取られてしまった。
 こちらは"怒"のノアであったスキン・ボリックを神田に破壊され絶命させられた。

 結果として見れば、生き残りゲームはノアの完全なる敗北。
 それは勝手に遊び入れた自分達が招いた敗北だ。

 しかし千年伯爵はそのことでティキ達を咎めはしなかった。
 怒り狂う千年伯爵の恐ろしさは知っているが、家族に対して彼は甘いことが多い。

 そんな彼が、何故今回は止めに入ったのか。
 あんなにも教団への怒りを露わにしていたのに。


「前にも言ったでしょ。ボクらは大事な子羊なんだから。千年公はあんまり、ボクらを危険に曝したくないんだよぉ」

「…その"子羊"の一人なんじゃねぇの? 雪だって」


 そう当然の疑問を問えば、そうだねぇとロードは笑うだけだった。
 にこにこといつもの顔で笑う少女の真意は、よくわからない。

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