My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「それよりティッキー。折角見つかっちゃったんだし、ティッキーにも協力して貰おうかな」
「協力?」
「うん。ティーズを一匹貸してくれる?」
「…いいけど…なんで?」
「イイコト思い付いちゃったから♪」
「?」
雪の為の協力ならば、断る理由などない。
言われるがままに、人差し指を立てたティキの浅黒い指先から、まるで花が咲くように黒い羽根を広げて現れる一羽の蝶々。
否、蝶々型のそれは食人ゴーレム。
名は"ティーズ"。
千年伯爵がティキの為にと、造り出した魔道具の一つである。
「なんだよイイコトって」
ほら、と指を差し出せば、ひらひらと宙を舞うティーズがロードの肩にふわりと留まる。
疑問を問えば、小さな手で手招きするロードに、何かと長身の身を屈めてティキは顔を寄せた。
「それはね──」
ひそひそと、暗い部屋で紡がれる小さな声。
ティキにしか聞こえない音色で囁かれた内容に、やがて形の良い眉は怪訝に潜められた。
「……ロード」
「なぁに?」
顔を離し、今一度小柄な少女を見下ろす。
にっこりと笑い見上げてくる姿は、可愛らしい女の子。
「お前が家族思いなのは知ってるし、そこを疑ったりなんかしない。雪の為だってのもわかる。……けど、よくそんなこと思い付くよな」
「それって褒め言葉ぁ?」
こてん、と愛嬌ある仕草で首を傾げる少女に、ティキは一つ溜息をついた。
「聖書に載ってる悪魔って生き物は、きっとお前みたいな顔して笑ってるんだろうなってこと」
「何それ」
そんなティキの言葉に笑みを深めると、くすりと少女は少女らしかぬ顔で嗤った。
「やっぱり褒め言葉だね」