My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「…それって、」
「そう。黒の教団」
「…本気で言ってんの?」
「うん。言ったでしょ、雪は大事な家族だって」
単独で救出に向かうつもりはないらしい。
しかしその扉の向こうは教団に続いていると言う。
真意が読めず、訝しげに見下ろしてくるティキを見上げて。ふ、とロードは哀しげに微笑んだ。
「あんなに痛い思いをして怖がってるのに。独りになんてさせられないよ」
ロードも感じた、強烈な雪の記憶のメモリー。
それは激しく脳裏に刻まれ植え付けられた。
見て見ぬフリなど、できるはずがない。
「傍にいてあげたいの。"ボク"は行けないけど、"ボクの代わり"なら、きっと会いに行ける」
そう口にして、ロードが掲げたのは手にしていた赤い色のリボン。
「夢の中じゃなくて、現実で傍にいてあげたいんだぁ」
「……」
「その気持ちは、きっとティッキーやワイズリー達、みぃんな同じだよね?」
こてん、と軽く首を傾げて。可愛らしく問いかけてくる少女の優しい笑みに、ティキは小さな溜息をついた。
無造作に髪を搔き上げて見えた表情に、もう冷たい色は残していない。
「…だからって黙ってやることねぇだろ」
「ふふ、ごめんねぇ。でも千年公にもバレちゃったら、止められちゃうかもしれないし」
千年伯爵にまで止められたら、会いに行けなくなるかもしれない。
その可能性は避けたかった。