My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「なんで単独行動なんてしてんの。雪への思いが一緒なら、俺達と協力すればいいだろ。ロード一人で雪を救い出せんの?」
「……ボクねぇ、ティッキー」
細い両手を背中で組んで、小さな顔を俯かせる。
そこにはもう、いつもの彼女のころころと変わる笑顔は浮かんでいなかった。
「雪も大事な家族だけど、ティッキー達も大事な家族なの。どっちも心配だし、どっちかなんて選べないんだよ」
「……ロード…」
だから教団に乗り込もうとしていたティキ達を、止めようとしていたのか。
「だからね、ティッキー」
つい、と少女の顔が上がる。
じっと真剣な表情で見上げるロードに、ティキも静かに耳を傾けた。
「ティッキーって、ほんとお馬鹿さんだよね★」
「…………は?」
にっっっこり。
突如戻ったロードの"いつもの"顔に、緩んでいた優しい空気が忽ちピシリと固まる。
「ボクが単独で雪を救出しに行くって? なんでそぉなるの。ティッキーのお馬鹿さーん」
「……おい」
「ジャスデビやワイズリー達がいても、千年公は止めたのに。ボク一人だけで救い出せる訳ないでしょお。考えたらわかるのに~」
「…おい待て」
「あ。それに今危険に曝されてるのは雪だから。ティッキーと雪、どっちか優先しろって言われたら、今はボク迷わず雪を選ぶからネ」
「おい待ていっぺん口閉じろ」
けらけらと馬鹿にしたように笑うロードを前に、ぴきりとティキの額に青筋が浮かぶ。
その姿は普段の小悪魔なロードそのもの。
一瞬見えた真面目な顔は嘘だったのか、一瞬でも信じた数秒前の自分を殴ってやりたいとさえ思った。
「いい加減口閉じねぇと殴るぞ」
「あっは★ ティッキーこっわぁーい」
「……」
「あ。でもね、一つ当たってることはあるよ」
「…は?」
いい加減本気で殴ろうかと、ティキが拳を握った時。ぴん、と人差し指を立ててにっこりと笑うと、ロードは徐にハート型の扉の向こうを指差した。
「この"道"が通じてる場所」