My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「無茶やるのは俺よりロードが専門だろ。お前が大人しい方が変だと思って」
スタスタと部屋の中に踏み込みながら、長身なティキが小柄なロードを見下ろす。
その目は無表情な中に冷たい色を宿していた。
千年伯爵の登場で、結局あの場は解散となった。
雪への救出には行けず、渋々とだが従ったティキには気にかかることが一つあった。
それこそが、この少女のこと。
「それにあんだけ雪を大事に思ってんなら、尚更。大人しくしてる訳ねぇと思って。…で? 俺らは止めておいて、一人で雪に会いに行こうってわけ。どういう魂胆?」
「やだなぁ、そんな怖い顔しないでよ~」
よく寝顔に落書きをしたり、無理矢理に遊びにつき合わせて振り回したり、ロードのそんな行動に嫌な顔はするもののここまで怒りは見せなかったティキ。
そんな彼の静かな荒んだ空気を感じて、ロードはころころと鈴を鳴らすように可憐に笑った。
「言ったでしょ、ボクらが姿を見せたら雪の命が危うくなるって。だからボクは会いに行けないよ」
「じゃあこの扉は何処に続いてんの」
「……」
「黒の教団。だろ」
千年伯爵の後ろで、一瞬だけ見せたロードの素の顔。
それをティキは確かに捉えていた。
教団に乗り込もうとしていたティキ達を止められたことにか、ほっと安堵の表情を見せて。しかし不安な顔色も残していた。
あの表情(かお)は、彼女のどんな心を表していたのか。
聞かなくてもわかる。
それは雪への不安だ。