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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).


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「♪」


 とんとんと、軽い足取りで進む細い二つの足。
 先に履いた靴はポップな黒とピンクの縞模様。
 暗い廊下を迷わず進むそれは、やがて一つの扉の前で止まった。

 カチャリと開いた扉の先。
 その部屋の中には、何もなかった。

 否。

 四角い箱のような何もない部屋の中央に、ぽつんと置かれているのはゴシック調のハート型の扉。
 赤と黒の菱形模様が羅列した、道化のようなハーリキン・チェック。
 壁に設置されている訳ではなく、部屋の中央に孤立して置かれている扉は、まるでサーカスか何かで使われる大道具の一つのようだった。


 キィ…


 目の前でハート型の扉に少女が手を翳せば、ドアノブを回さずとも勝手に両扉が左右に開く。
 本来ならば後ろの部屋の壁が見えるはずなのに、扉の中はまるで異空間に繋がっているかのように、真っ暗な闇が広がっていた。

 フリルのついた白いブラウス。
 その襟元を飾っていた赤いリボンをしゅるりと解く。
 数本、己の髪を引き抜くと、その赤い帯と共にきゅっとリボンの形に結び直した。

 ふ、と少女の口元に笑みが浮かぶ。

 リボンを手にしたまま、開いたハート型の扉に足をかける。
 中を覗き込めば真っ暗闇。
 一歩踏み外せばどこまでも落ちていきそうな暗闇を、臆することなく覗き込んで身を乗り出した。










「抜け駆けすんの?」










 止めたのは、誰もいないはずの部屋に響く声。
 ぴたりと少女の動きが止まる。

 然程驚いた様子は見せず、ゆっくりと振り返った少女の金色の目に映し出されたのは、開いた部屋の扉の先。
 足音もなく其処に現れていたのは、無表情にこちらを見ている泣きボクロの彼の姿だった。


「なぁ、ロード」

「……バレちゃった?」


 くすりと、名を呼ばれた少女──ロードが艶やかな笑みを零す。


「目敏いなぁ、ティッキー」

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