My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「ロード…だから急に腰に突進すんのはヤメロ…」
「えぇ~? 可愛い女のコのハグで、グッキリなっちゃうの? ティッキーてば、おじさーん」
「お前のハグは子供の域を超えてんだよ…腰折れるわ」
ぎゅうぎゅうと後ろから腰に抱きついてくる幼女を、ティキの目が耐え混じりに映し出す。
ツンツンと癖の強い短髪に、猫のようなつり気味のぱっちりとした目。
褐色肌に金色の瞳に額の聖痕。
それはノアとして皆と同じものだったが、家族の中で長子でありながら一番幼い体を持つ少女は、ロード・キャメロット。
千年伯爵を除く、転生を繰り返してきたノア兄弟の中で、35年前から転生をせず幼女の器のままこの世を渡り歩いてきた、唯一の存在である。
「それより丁度いい。お前を捜してたんだよ」
「うん、だと思った~。雪のメモリーを見たからでしょお?」
「わかってんなら話は早い。方舟かロードの扉で、黒の教団のある島まで繋げて欲しいんだけど」
「うん、ダメぇ~」
「そうか、なら……は?」
「だから、ダメ★」
予想外の返答に、つい低身長な幼女を凝視する。
見下ろし見えたのは、にっこりと可憐に笑う愛らしい少女の顔。
「…なんで」
「なんでも何も、わかるでしょ。今ボク達が教団に姿を現したら、雪関係で来たって敵にバレちゃう」
「それの何が悪いんだよ。大体そのつもりで行ってんだから間違いでもねぇだろ」
「…これだからティッキーはお馬鹿さんなんだよ…」
ティキの腰に抱きついたまま、首を大きく折り曲げるようにして見上げたロードは、小さな溜息をついた。
「雪は今、黒の教団に首を絞められてるようなものなのに。その雪を助けに姿なんて見せたら、ボク達を抑制する為の道具にされることは目に見えてるでしょ。最悪、そのまま雪は絞め殺されちゃう。それだけはダメ。絶対に避けなきゃ。…ワイズリーならそれくらいのことわかるでしょぉ?」
大きく折り曲げていた顔が横へと向いて、つり気味の猫目がじとっとワイズリーを見つめる。
わかっていながら止めなかった彼を、ロードの視線の圧が責めた。