My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
──バンッ
荒々しく開く扉。
分厚い高級感ある絨毯を踏み付け、出てきたのは見慣れた同胞。
急いでいるのか、シャツにジーンズというラフな出で立ちで癖の強い黒髪を片手で掻き乱す。
その下にある顔はいつものだるけた寝起きの表情ではなく、一切感情の見えない無表情なもの。
一目見て苛立っていることは明白だった。
「なんだぁ? ティキのヤロー。機嫌悪ィな」
「ヒッ変なモン食べてお腹壊しちゃったんじゃないの?」
ソファで仰向けに寝転がり、パンクロック雑誌を見ていたデビットが目を向ける。
ソファの横で凭れながら、壊れたブリキ人形の玩具を弄っていたジャスデロもまた、同じに手を止めて同胞の顔を伺った。
「おい、双子。ロードは何処だ」
「ロード?」
「あん? また寝てる間に顔に落書きされたのかよ」
「違ぇよ。それより何処だって聞いてんだ。知ってんのか知らねぇのか」
「? 何ピリついてんだよ」
苛々と問い質してくるティキに、デビットも寝ていた体を起こすと怪訝な顔で問いかけた。
普段よくティキからかって機嫌を損なわせることはあるが、ピリピリと空気が殺気立つ程に怒りを露わにされたことは、あまりない。
「知らないならいい。他に聞く」
「「あ。」」
不思議そうに見てくるジャスデビに情報はないと見たのか。さっさと背を向けて去ろうとするティキを、咄嗟に呼び止めた。
「待て、ティキ」
それはジャスデビのものではなく、別の青年のもの。
「雪の下へ行く気だろう」
広い談話室の隅。
一人がけの柔らかいソファチェアに胡坐を掻いて座っている、ターバン姿の青年からだった。