My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「…!?」
最初に異変を感じ取ったのはヘブラスカだった。
雪の体の周りに、パリパリと走る微弱な電流のような光。
「これ…は…っ?」
「なんだね、ヘブラスカ」
「雪の体に…何か…が…」
パチンッと微弱な刺激が、髪束を伝ってヘブラスカに伝わってくる。
微かだが確かな"拒絶"。
それがなんなのかヘブラスカが確かめる前に、感じる刺激は強くなった。
パチン、パチンと弾いていたものがパリパリと痛みを伴い始める。
電流のようで電流とはまた違うようにも見えるもの。
身動きの取れない状態で謎のエネルギーを発する雪は、確かにヘブラスカの知っている彼女ではなかった。
「雪…それが、お前の力…なのか…?」
戸惑いがちに尋ねる。
ヘブラスカのその問いに、雪は耳を貸す余裕などなかった。
「っ…ぅ、ぁ…」
パリパリと体を纏うエネルギーが増せば、比例するように額がズキズキと痛み始める。
身に覚えのある痛みは、聖痕が浮き出ていた時に感じていたものと同じもの。
しかし頭を抱えて身を捩りたくても、ヘブラスカに四肢を拘束されていて動くこともままならない。
痛みは増していく。
──奴ヲ許スナ
脳裏に掠める誰かの声。
もう今でははっきりと理解している。
その声は、雪の中に宿しているノアメモリーの声だ。
(こんな時に…ッ出てこないで…!)
勝手にノアの意思表示をする己の体は、いつも願い下げなタイミングでやって来る。
咄嗟に押し込めようとするのに、額の痛みは増していくばかりで、思い通りにならない。
雪は痛みと苛立ちに顔を顰めた。
これではまるでルベリエの思うがまま、従っているかのようだ。