My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
それは誰かが突き付けてきた言葉だった。
『道がないって決め付けて、誰かが作ってくれるのを待ってる。それを他人任せって言うんだよ』
誰の言葉だったのか。
憶えてはいないけれど、その声は憶えている。
飄々と屈託無くて、それでいて人間臭い声だった。
(……違、う)
誰かに縋ることは、とうの昔にやめた。
教団に行く道を選んだのも自分自身だった。
冷たくあしらう小母の元を離れ、一人で知らない土地を渡り歩いた。
元々一人でいることは慣れていたから、そこに恐怖はあまりなかった。
それよりも両親に会いたくて焦がれた思いの方が、ずっとずっと勝っていたから。
『思ってないなら自分で動けよ。誰かを待ってたって、都合よく手を差し伸べてくれたりしねぇんだから』
(…違う)
都合の良い手なんて求めていない。
だってそんなもの、心底求めた時には誰も差し出してはくれなかった。
ピンチの時に助けに来てくれる、ヒーローのような都合の良い存在。
そんなものは何処にもいない。
そんなこと、もうとっくの昔にわかっていたはず。
だから自分は今、教団(ここ)にいる。
自分の意思で此処に赴いて、自分の意思で此処に入団した。
そのことを後悔したことはない。
此処に来なければ、両親の死など知らずずっと待ち続ける結果になっていただろうから。
『自分を一番に助けてやれるのも気遣ってやれるのも、自分自身なんだよ。本気で現状をどうにかしたいなら、他人任せにするな。自分で道を切り拓け』
(そんなこと──)
「わかってる、よ…っ」
──パリッ
雪の肌の上で、微弱なエネルギーが摩擦音を立てた。