My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
ぞわぞわと肌の上を襲う悪寒。
体の奥深くに侵入してくるような異物の感覚。
(気持ち悪い…っ)
息が上がって、ドクドクと血中が沸騰しているような感覚に陥る。
吐き気を感じながら、巻き付かれ動けない四肢をそのままに、雪はぐっと唇を噛み締め耐えた。
「…雪…すまない…」
「…っ」
朧気な頭に入り込んでくる、ヘブラスカの謝罪の声。
悲しげな響きは嘘をついているようには思えなかったが、そこになんの感情も浮かばなかった。
すまないと謝るなら止めて欲しい。
好き勝手に体を弄られるのは、過去の経験だけで充分だ。
──否。
(結局…同じ、なんだ)
エクソシストの血縁者。
ノアメモリーの保持者。
立場が変わっただけで、結局教団での扱いは変わらない。
自分の意見なんて通されず、好き勝手に体を弄られる。
過去も現在も何も変わっていない。
教団の室長が変わろうとも、あの忌々しい適性実験が廃止されようとも。
自分の道は何も変わらない。
歩かされている道は、一本だけだ。
『雪は道標がないと歩けねぇの?』
ぴく、と枷の嵌められた指先が震えた。