My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「見せる、って…」
「一度で理解して下さい。ノア化した貴女の姿ですよ。現時点で貴女にどれ程の力があるのか、確認しておく必要がある」
「……なんの為に?」
「それを貴女に説明する必要があるのですか?」
「……」
混乱と疑惑が少しばかり入り混じり、普段のように頭は働かないが、ルベリエが要求していることは理解できた。
しかし自由にノア化できる体でないことは、雪自身もわかっていた。
そんなことができれば、神田達の前でノアの姿を曝け出すこともなかったのだから。
「…できません」
「…今、なんと?」
「できないって言ったんです。…私のこの力は…自由に操れるものじゃないから…」
「何故?」
「………わかりません」
「何故わからないのですか」
「っ…教えてくれる人なんて、誰もいなかったから…ッ」
「外部のノアとは接触しているでしょう。双子のノアに一度捕まったと聞いています。嘘はおやめなさい」
「嘘なんて言ってません! あのノア達は私のことなんて知らなかったし、私も彼らがノアだと知りませんでした! そもそもノアを仲間だなんて私は思ってません…!」
淡々と責められる言葉に、つい雪の口調も荒く大きなものへと変わる。
そんな雪の姿にルベリエは口元を緩ませると、くすくすとおかしそうに笑った。
「っ…何がおかしいんですか」
「いえ。貴女はノアなのでしょう? なのに同胞を仲間だとは思っていないなどと…おかしなことを言うものだと思いまして」
「ぁ…当たり前ですっ私はずっと教団の為に働いてきたんですから…ッ」
「だからなんだと言うのです。それが敵ではない証拠にでもなると? は、それこそおかしな話だ」
口元に片手を添えて、さもおかしなものを見るような目でルベリエが笑う。
神経を逆撫でするような言葉に、雪は顔を顰めた。
ルベリエにはどんな説得もただの言い訳にしかならない。
説き伏せることなど不可能に思えた。