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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



 別件とは何か。
 本当にそんなものが入ったのだろうか。
 そもそも、そうだとしてもルベリエだけを此処にコムイが寄越すだろうか。

 どんなに雪が辺りを見渡しても、コムイは見当たらなかった。
 代わりのようにルベリエの傍に護衛のように付く人物は、見覚えのある服装をしている。
 緋装束のマントを身に纏った者達。
 曝け出している顔は見覚えがないが、その佇まいでわかる。
 ノアだと知るや否や攻撃を仕掛けてきた、あの謎の鴉だ。


「事態は把握しています。少し私とお話でもしましょうか」


 独房の中にある小さな椅子に、胸元のポケットから取り出したハンカチを覆うように乗せると、静かにルベリエは腰を下ろした。
 足を組み、膝に両手を重ねて置くとぴしりと背筋を伸ばしたまま雪へと笑顔を向ける。

 にこやかに話しかけられているのに、何故か首筋を蛇が這うような緊張感が雪に走る。
 あの時と同じだった。
 クロス・マリアンの事件部屋で、ルベリエと鉢合わせてお茶を共にした時と。


「……すみません…長官。約束、したんです…室長と。その約束が果たされるまで…話は、できません…」


 戸惑いながらも、現状を少しずつ呑み込みながらなんとか雪は首を横に振った。
 恐る恐る言葉を紡ぐ雪をその目に見据え、ルベリエは不思議そうに首を傾げた。


「おや、どうやら誤解をされているようだ。貴女に拒否権などないのですよ。私が話を望めば言葉を交えなさい。質問には回答で応えなさい。この場で私を拒否することは、反逆罪と同じこと。そのくらいのこと、貴女の回らない頭でもわかるでしょう?」

「……」


 情などどこにも見当たらない、容赦ない言葉の針だった。
 突き立てられる言葉の針に、雪はそれ以上は何も言えずに押し黙る。


「反逆者は、最悪その首を跳ねるしかない。それを貴女は望んでいるのですか?」

「……」

「そうでしょうとも」


 応えなどなくとも顔を歪める雪の反応だけで充分だったらしく、口元に弧を描くと再びルベリエは笑みを称えた。


「それでは、前回のお茶の続きといきましょうか」


 それはまるで午後のティータイムに誘うかのように、穏やかに。

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