My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「だから──…………ひょっと。何ひゅんの」
「ん? なんかむかつくから」
続く言葉を聞きたくなくて、むにっと両手で頬を押さえ込んで雪の顔を上げさせる。
両手でむにむにと押し潰しながら、その顔に向かってティキはにっこりと笑ってみせた。
笑っていない目で。
「なんれむかふかれなきゃいへないの」
「んー…なんとなく」
「何ほれ! ティヒには関係ないれひょっ」
「あ、それ言う? このタイミングで?」
今目の前で話しているのも、雪の身を案じているのも自分だと言うのに。
傍にいない者ばかり求める雪に、更にティキはにこにこと笑みを深めた。
一切笑っていない目で。
そして。
「はなひてって」
「やだ」
むすりとした顔で抗う雪に、笑顔で顔を寄せる。
「なん──…んっ」
そのまま、ちぅっと目の前の押し出された間抜けなおちょぼ口に、自身のそれを押し付けてやった。
唐突に重なった唇に、視界一面を覆うティキの顔。
予想の範疇を超える出来事に、雪は声を出さずに目を丸くした。
ピシリと固まる体。
「……っ…な…なな何すんのッ!?」
やっとその体が再起動したのは、ティキが唇を離して数秒経った後だった。
「何って。嫌がらせ?」
「なんで疑問形っ!?」
「さぁね」
顔を赤らめて口元を押さえる雪の目は、しっかりとティキを映し出している。
もうこの場にはいないエクソシストの彼ではなく、目の前にいる自分で意識が埋まっている雪に、ティキは満足そうに口角を上げた。