My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「なに、雪は道標がないと歩けねぇの? それこそ他人に作られた道だろ」
「っ…そういう意味で言ったんじゃないよ」
「じゃあどういう意味? 同じだろ。道がないって決め付けて、誰かが作ってくれるのを待ってる。それを他人任せって言うんだよ」
「違…っそんなこと思ってない…ッ」
「思ってないなら自分で動けよ。誰かを待ってたって、都合よく手を差し伸べてくれたりしねぇんだから」
わかってる、と言いたげな表情で顔を歪める雪。
それでもティキは淡々と告げる表情を変えなかった。
諦めればいいと思った。
誰も手を差し伸べてはくれない。
教団で縋れる者などいないと悟れば、雁字搦めに雪の心に縛り付いてる神田の存在を引き離すことができる。
そうして教団で孤立してしまえば、雪の目は否応無しにでも他に向く。
エクソシストとノアは相容れない。
そこに無駄な希望を抱くくらいなら、へし折ってやりたいとさえ思った。
家族であるからこそ、とその心を深く傷付けぬようにワイズリーが配慮していたことは知っている。
わざわざ夢のような光景を何度も見せて、雪自身から教団に見切りをつけるように促した。
しかしそうして配慮した結果がこれだ。
もっと早くにしかとその心を引き離せていれば、こうして彼女は鎖に繋がれてしまうこともなかったかもしれないのに。
心も体も雁字搦めに鎖に巻かれた雪を目の前にしていると、ふつふつとそんな思いがティキの中で渦巻いた。
「自分を一番に助けてやれるのも気遣ってやれるのも、自分自身なんだよ。本気で現状をどうにかしたいなら、他人任せにするな。自分で道を切り拓け」
「っわかってるよ!」
淡々と責めるように言葉を重ねれば、ついに雪は跳ね返すような声を荒げた。