第16章 エピローグ
「夕」
祝福の花びらの雨を受けながら、みなみが彼の名を呼ぶ。
ありったけの愛おしさをこめて。
「私を選んでくれて、ありがとう」
花の咲くような笑顔。
ずっと、ずっと、数え切れないほどたくさんの日々を、慈しみ、守り、愛し、手を取り合いともに生きてきた。
「選ぶも選ばないもねーよ」
前触れもなく、夕の腕がみなみを抱き上げ、列席客からワッと歓声が上がる。
「わ、ゆ、夕!」
「はじめから、お前しかいなかった!」
幸せな祝福に包まれ、二人のための鐘の音は、晴れた空へ高く、高く、吸い込まれていった。
了