第7章 ???の姉《後編》(逆転裁判)
「冥!」
裁判署内の廊下を係員に連れられて歩く冥を菜々子は見つけ駆け寄った。
「………何?」
「ごめんなさい。
弁護士になった私があなたに会う資格はないことはわかっているわ。
でも一言、言いたくて………」
菜々子の言葉に冥は菜々子を見た。
「あの鞭を使い続けてくれてありがとう」
「……!!」
「弁護士と検事だけどお互い頑張りましょう」
菜々子がそう言って微笑んだ途端、冥の表情は今にも泣きそうなものに変わった。
「何よ………。
聞きたいことも文句もたくさんあったのに………。
全部、ぶっとんじゃったじゃないっ………」
冥は涙を堪えながら言った。
「もう一度会えてよかったっ……!!
菜々子姉さんっ………!!」
そう言って冥は菜々子の胸に飛び込んだ。
菜々子は黙って冥の頭を撫でる。
「……どうして弁護士になったの?
一緒に検事になろうって約束したのに……」
「初めて父さんの裁判を見に行ったときのことよ。
弁護士から父さん……検察側の不正な取り調べを指摘されたあの裁判を見て私は父さんのやり方に疑問を持ってしまった。
そして本当に検事は正義なのか疑問に思って検事になることができなかった。
そして悩んだ末、私は弁護士になった。
無実の人々の冤罪をはらすために」
「……成歩堂 龍一に会うまでの私だったらその考えは理解できなかったわ」
冥は顔をあげて菜々子を見つめた。
「これからは堂々と狩魔 菜々子として弁護士を続けるんでしょ?」
「そのつもりよ?」
「じゃあ法廷初の姉妹対決が楽しみね」
「ふふっ!
そうね。
そのときはお手柔らかに頼むわ」
「それはこっちのセリフよ」
そう言って菜々子と冥は笑いあった。
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