第6章 ???の姉《前編》(逆転裁判)
「私の苗字なんて聞いてどうするんですか?」
「いや………初めて君に会ったときからずっと思っていた。
君は、私の知り合いに似ている」
「世の中には同じ顔が3人いるらしいですよ。
私がそのうちの1人ってことですね」
菜々子の言葉に御剣は静かに首を横に振った。
「名前も同じだと言ったら………?」
「菜々子って名前、けっこういますよ?」
御剣と菜々子の静かな攻防をしていると目的の検事局へ着いた。
検事局へ着くと菜々子は素早く御剣の車から降りた。
菜々子に続いて御剣、春美も車を降りる。
「私に苗字はありません。
捨てましたので。
ここまで乗せてくださってありがとうございました」
御剣との別れ際に菜々子はぼそりと言った。
「苗字を捨てた……?
なら、やはり彼女は……!」
御剣はそう呟くと少し考えこむ。
「まさか………な」
静かに首を横に振ると御剣も自分の検事室へ向かった。
一方、狩魔 冥のいる留置場へ向かった成歩堂と真宵は冥と会う為、面会室へ来ていた。
「狩魔検事、大丈夫かなぁ?
落ち込んでたりしないかなぁ?」
真宵が心配そうに言った。
「どうだろう?
むしろ真犯人を自分で見つけたくってイライラしてたりして」
成歩堂が冗談のつもりで言った。
「その通りよ!
成歩堂 龍一!!」
冥が面会室へ現れた。
「全く!
この私が容疑者なんて警察は一体どこを捜査してるのよ!!」
冥はドカッと置かれているパイプ椅子に座った。
「だいたい何故、私は自分の裁判を自分で弁護できないのよ!!
成歩堂 龍一は自分で自分の弁護をしたのに!!」
机をバンバン叩きながら冥は言った。
「いや、それは僕が弁護士だからできたことで狩魔検事は一応、検事だからさ……」
成歩堂は恐る恐る言った。