第1章 東峰 旭の妹(ハイキュー!!)
田中が首を激しく縦に振るのを確認した菜々子は足をおろした。
「用事も済んだことだし、私はこれで失礼します」
ペコッと菜々子は頭を下げるとバレー部の体育館を出ていった。
「こっ………こぇぇぇ」
へなへなと崩れ落ちる田中。
「…………あれが噂の股ドン………」
「凄いな、旭の妹」
「もしかして、旭より男前な性格してたりして」
上から西谷、菅原、澤村のリアクションである。
「田中……大丈夫か?」
立ち上がる気配のない田中に声をかける旭。
「あの迫力に腰がぬけました」
はははっと渇いた笑いをする田中。
「…………なぁ龍よ」
「なんだ?
ノヤっさん?」
話しかけてきた西谷の方を向いて田中は首を傾げた。
「どうだった!?
股ドン!!」
興奮ぎみの西谷に軽く引く田中。
「すっげー初めて見たよ!
生の股ドン!!」
「の……ノヤっさん?」
興奮ぎみの西谷を見てどんどん引いていくバレー部の面々。
「やっぱ、股ドンとか壁ドンとかしてみてーけどされてみたいよなっ!!」
いや、されてみたくはないよ。
と全員の気持ちが一緒になった瞬間だった。
「でも、西谷が壁ドンとかするんだったら西谷より小さい子じゃないと無理じゃない?」
「ノヤっさんより小さい子かぁ………。
なかなかいないんじゃ…?」
場の空気を変えようと菅原が言ってそれに旭が続いた。
「さっきの旭の妹の菜々子ちゃんだっけ?
あの子、西谷より小さかったな」
「菜々子は150㎝だったと思うよ」
「ひゃくごじゅうせんち………」
澤村と旭の会話を聞いて西谷が呟いた。
「菜々子ー!!」
西谷が菜々子の名前を叫びながら体育館を出た。