第17章 加古 望の妹(ワールドトリガー)
「いい加減に菜々子の事を諦めてくれないかしら?
二宮くんにあの子はもったいないわ」
「なんだ小姑。
俺に菜々子を取られたくないのか?」
「ええ。
だって二宮くんって家事、育児しないくせに完璧を求めてネチネチ嫌味を言ってきそうだもの」
「俺は家事はもちろん菜々子との子供なら喜んで育児するつもりだ」
「つもりでしょう?
するって断言しない辺りがズルいわね」
「ボーダーの任務で出来なかった時の場合を考慮して言っているまでだ」
加古と二宮は黙って睨み合う。
周囲の隊員達も2人の様子を、遠巻きに見る。
「まぁいいわ。
二宮くんに一つ教えてあげる。
今日菜々子はそれはそれは可愛い格好をしたから聞いたの。
可愛い格好してどうしたの?って。
そしたらあの子、好きな人とデートに行くって」
加古がニッコリと笑って言った瞬間、二宮は加古を睨んだ。
「誰とだ」
「恥ずかしがって教えてくれなかったわ。
でも今日のデートが終わったら告白するって言ってたわ。
私としては二宮くんがここにいる時点でその相手が二宮くんじゃないって分かって嬉しいわ」
満面の笑みの加古に目つきがどんどん鋭くなる二宮。
「私の予想だと堤くんだと思うのよね。
最近2人で話してるのよく見かけるし。
堤くんは家事、育児に協力的そうだし何より作った料理に文句言わないし」
「堤は料理に文句言わないんじゃない。
言えないだけだ(死んでるから)」
加古と二宮の睨み合いは続く。
「あれ?
でも諏訪隊って今日防衛任務じゃなかった?」
「そういえばさっき諏訪さん達とすれ違ったな」
出水が思い出して言ったのに米屋が続いた。