第16章 及川 徹の姉(ハイキュー‼︎)
「あの」
どこからか声がして菜々子は空を見上げるのを止め、声がした方を向いた。
そこにいたのは牛島だった。
ランニングの途中なのか出会ったあの日と同じ格好をしていた。
「どこか具合が悪いんですか?」
「………えっ!?
あっ………だ、大丈夫っ!!
ちょっと考え事をしていただけで………!!
すこぶる元気です!!」
菜々子は慌てて否定した。
「そうですか。
元気ならなによりです」
牛島はそう言うとくるりと菜々子に背を向け、走りだそうとした。
「あっ!!
そういえばこの前は徹がすみませんでした!」
菜々子は数日前にあった出来事を思い出して牛島に頭をさげた。
牛島は菜々子をジッと見つめた。
「あぁ。
テーピングの。
及川の姉だったんですね」
どうやら菜々子が徹と言うまで菜々子と気がつかなかったようだ。
「せっかくウシワカ君がテーピング譲ってくれたのに突き返すようなことになって本当ごめんなさい」
「いえ。
気にしてません」
頭を下げる菜々子に気を使ったのかどうかわからないほど表情が変わらない牛島。
(大人っぽいなぁウシワカくん…………。
本当に徹と同じ歳なのかな?)
牛島を見つめながら菜々子は思った。
「俺の顔に何かついてますか?」
牛島が首を傾げた。
「あっ!!
いえ!!
ウシワカくんって何だか大人っぽいから徹と同じ歳と思えなくって!!」
「及川と同じ歳ですよ」
慌てる菜々子の様子を見て牛島はふっと微笑んだ。
(あっ………笑った…………)
菜々子は牛島の微笑みに思わず固まった。