第16章 及川 徹の姉(ハイキュー‼︎)
徹は頭を抱えた。
菜々子の言ってることが嘘であって欲しかった。
「知ってるも何もコイツがウシワカだよ……………」
「ウシワカって徹が勝ちたいってずっと言ってた人よね?」
「そう。
よりによってコイツかよ……………」
ウシワカとは通称で本名は牛島 若利。
徹と同学年で白鳥沢高校バレー部のエース。
その実力から全国三大エースとまで言われている人物だ。
徹は中学時代からずっとウシワカを倒したい倒したいと菜々子に愚痴っていた。
「ウシワカに借りを作りたくない!!」
プンプンと両頬を膨らませる徹。
そして徹は立ち上がると自分の部屋へ行った。
しばらくすると部屋着から着替えた徹が玄関へと向かう姿が見えた。
菜々子は慌てて徹の方へ駆け寄る。
「どこ行くの?」
「白鳥沢!
ウシワカにテーピング突き返してくる!」
「お金を返すならわかるけどなんでテーピング?」
「アイツと同じテーピングを使ってたってのも嫌だけどアイツと半分こしたテーピングを使うのはもっと嫌!!」
徹が口を尖らせながら言うのを聞いた菜々子は、
(ウシワカ君のことそこまで嫌いなのか………。
ちょっと顔が好みのタイプだったってことは徹には黙っておこう………)
と心の中で思っていた。
徹が靴を履いて玄関を出ようとしていたので菜々子も慌てて靴を履き始める。
「何で姉さん靴履いてるの?」
靴を履いている菜々子に首を傾げる徹。
「徹だけが行ったって当事者の私がいないとウシワカ君もわからないでしょ?」
「いやいや!
来なくていいよ!!
ウシワカが姉さんに邪な思いを持ってたらどおするのさ!!」
菜々子を止める徹。