第16章 及川 徹の姉(ハイキュー‼︎)
「え?
あっちょっとお金っ!!」
菜々子は男を追いかけようとした。
が、男の足は早く追いつけそうにもなく、そして菜々子の声に気づくことなく男は去って行った。
「どうしよう……………」
そう呟きながら菜々子は男から渡されたテーピングを見つめた。
「ただいまぁ……………」
「おかえりー」
玄関で靴を脱いだ菜々子は徹の声がしたリビングへ向かう。
徹はバレー雑誌を読みながらリビングのソファーで寝そべりくつろいでいた。
「なんか家出る時より落ち込んでない?」
「悩みが増えてねぇ…………。
はぁ………どうしよう」
「散歩中に何があったの?」
「いや、実は…………」
徹にテーピングを渡しながらスポーツ店であった事を話す菜々子。
「え?
別にいいじゃん。
俺としては小遣いが浮いてラッキーだけど」
「そうもいかないでしょ。
ああー。
どうしよう。
お金を渡すにしてもどこの誰だかわからないし…………」
うろうろ歩きまわる菜々子を見ながら徹は読んでいたバレー雑誌のページをめくった。
「この人ー!!!!!」
菜々子は思わずバレー雑誌を指差して叫んだ。
「え?
何?」
徹は困惑しながら自分が見ていたバレー雑誌の方に目を向ける。
「この人!
この人がテーピングをくれた人なの!!」
そう言って菜々子が指をさした人物に徹の顔は引きつった。
「え?
本当にコイツ?
本当の本っっっ当に???」
徹は嫌な顔をしながら菜々子に確認をした。
「間違いないよ!
この人!
徹、知り合いなの?」
首を傾げる菜々子。